《めてみみ》ファッションと音楽

2020/07/10 06:24 更新


 イタリアの作曲家エンニオ・モリコーネさんが他界した。映画音楽の作曲家として知られ、「ミッション」「アンタッチャブル」「ニューシネマ・パラダイス」など数々の作品に曲を提供した。70年代に人気となったマカロニウェスタンと呼ばれるイタリア制作の西部劇映画で頭角を現した。

 映画史を振り返った時、その楽曲と切り離しては語れない映画も多い。例えば、「ゴッドファーザー」のニーノ・ロータ、「タクシードライバー」のバーナード・ハーマン、「ティファニーで朝食を」のヘンリー・マンシーニなどが代表例であろう。モリコーネさんでいえば「ニューシネマ・パラダイス」がポピュラーだ。

 パリ・コレクションなどでデザイナーが新作を披露する際、ショーでどんな曲を使うかにもデザイナーの意図が反映されている。だから見る側にとっては、そのショーで流れる曲もまた新作の背景を読み取るカギの一つとなる。映画音楽を使った場合、その曲とともに映像と服のアイデアとの関係を考える。ロックやヒップホップ、ジャズやブルースが使われた時、その曲の時代背景と服のデザインとの関連性を考える。

 ファッションショーは、あらゆる文化を取り入れた総合芸術であり、デザインと時代を考証する知的なゲームでもある。素晴らしい曲を残した故人に感謝したい。



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