《めてみみ》半夏生

2020/07/03 06:24 更新


 夏至から11日目を日本の雑節で「半夏生」(はんげしょう)と呼ぶ。今年は7月1日にあたり、農作業の暦ではこの日までに田植えを終えておくことが良いとされてきた。半夏生を迎えると、まもなく梅雨明けと言われるが、今年の場合はどうだろうか。

 例年とは異なり、この時期に恒例の欧州メンズコレクションやオートクチュールが今年はデジタルで行われる。海外渡航もできず、デジタルでのコレクション発表を待つことになり、実に四半世紀ぶりに日本の梅雨を体感している。

 すでに6月には、ロンドン・コレクションが初めてデジタル形式で発表された。残念ながら21年春夏の新作を披露したデザイナーは限られた。2カ月のロックダウン(都市封鎖)を経て、デザイナーたちが今、できることを発表するという内容が中心だった。しかし、そんな中でも「とにかく前へ進むんだ」というデザイナーたちの思いを感じることはできた。

 来週に控えたオートクチュールとそれに続くパリメンズ、ミラノメンズの内容はどうなるのだろうか。ロンドンと同じく、ロックダウンの影響で新作発表は限られるであろう。それでも、今後のフィジカルでのコレクション発表の見通しが立たない以上、デジタルで何ができるのかという模索はせざるを得ない。梅雨空の下で、そのトライアルを見届けたい。



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