《めてみみ》買い物の楽しさ

2020/06/30 06:24 更新


 オフィス街の某セレクトショップは5月末に営業を再開した。開店前の入念な掃除、営業中の試着室やレジ前のこまめな消毒などに加え、接客時には「距離を取り、あまりお声がけしない」よう徹底した。

 ウイズコロナ対応の営業スタイルだったが、最後の接客に関しては「すぐに改めた」。再開直後に来店した客の多くが、予想に反して、手に取った商品に関して販売員に質問し、意見を求めてきたためだ。

 この店は休業中、販売員がSNSで商品情報を発信し、それにより顧客の一定数がECで購入していることも確認していた。営業再開後はECの利用が増え、来店するのはサイズや色合いを実際に見て確かめたい人だけだと想定していた。

 ところが、ふたを開けてみると「休業中も店の前を通るたび、いつ開くのかと思っていた」「自粛が明けたら、仕事終わりに来ようと思っていた」など店での買い物を楽しみにしていたという声の方が多かった。

 「自粛期間中、外に出られず、ストレスを感じていた人も多く、店に来て会話を楽しみながら買い物したいと思っていたお客様が意外に多かった」と店長は話す。今は「距離は取るが、マスク越しの笑顔は絶やさず、可能な限りお客様とコミュニケーションを取る」よう心がけ、リアルでの買い物の楽しさを演出するようにしているそうだ。



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