政府は4月7日、新型コロナウイルス感染拡大を防止するため、7都府県を対象に緊急事態宣言を出した。自治体によって対応に若干の違いはあるが、5月6日まで対象地域の百貨店、SCなどの大型商業施設に休業要請が出される。既に大半の大型商業施設が8日から当面の間、食品スーパーなど一部店舗を除き休業する。
国や自治体が集客イベントや外出自粛の要請を出して以降、多くの施設が営業時間を短縮し、3月末から週末を臨時休業した。春物が本格的に売れ出す時期で、商機を逸してしまった。その上、緊急事態宣言後の休業は、春物から初夏物に切り替える時期であり、ゴールデンウィーク商戦の売り上げも失うことになる。業界にとって前代未聞の大きな痛手だ。
「休業しろと言ってくれた方が正直ほっとする」。緊急事態宣言が出される直前に取材したあるSCの館長の苦悩の言葉が心に残る。感染拡大の中で営業すれば、「お客はもちろん、施設やテナントスタッフをリスクが大きい環境下に置くことになる」からだ。
商売ができないのは痛手だが、まずは感染拡大を防ぎ、働く人たちの健康と命を守るのが優先だ。今はコロナ終息後の飛躍に向けた「備え」を万全にしておきたい。そのための知恵をディベロッパーとテナントが一体となって絞らなければならない。