大手百貨店各社の3月売上高(速報値)は、全店舗計で前年同月に比べて3~4割減少した。増税直後の反動減があった19年10月をも大きく下回った。インバウンド(訪日外国人)売上高は約9割減り、都心店舗ほど落ち込み幅が大きかった。もっとも、国内客中心の地方・郊外店の売上高もほとんどが2ケタ減。SCも、多少の地域差はあっても同様の結果だろう。
都心の商業施設を見て回ると、ファッションフロアには鮮やかな色目の春物があふれる。にぎわってはいなくても、春物がフロアに華やかな空気を醸し出す。一方で、客数が少ないため、商品や什器の整理、清掃にいそしむ販売員も目に付いた。
日本生産本部余暇創研の「レジャー白書2019」の資料をみると、18年の余暇活動種目の上位は「複合ショッピングセンター、アウトレットモール」が前年同様6位。前年は20位以下だった「ウィンドーショッピング」が9位に浮上していた。商業施設がイベントに力を入れている成果だろうか。
今しばらくは不要不急の外出自粛が続くと思われる。顧客とのつながりを意識しながら、DM配信をしている販売員も多いと想像する。レジャー白書の結果は、買い物は面倒で苦しいものではなく、身近な余暇活動であることを示している。いずれ来る〝春〟を顧客は心待ちしているはずだ。