世界中で新型コロナウイルス感染が広がる中で、ファッションに携わる人たちがそれぞれの立場で世界を鼓舞している。LVMHグループが除菌用ジェルを、ケリンググループが医療用マスクの輸入・生産を準備している。グッチは医療用マスク・服を寄付するという。化粧品最大手ロレアルも、傘下ブランドの工場で除菌用ジェルの大量生産を始めた。
影響が最も深刻とされるイタリアから春の便りが届いた。ブルネロ・クチネリからの大切な仕事仲間と世界中の友人への手紙だ。今年もウンブリア州ソロメオ村の古城のオフィスに春を告げるツバメが戻ってきたこと。健康に責任を持つ人の指示に従って、幸せな生活のために不可欠だった小さな習慣を減らしていることがつづられている。そして、ツバメを再生の象徴になぞらえている。
「これまでにも世界のどこかで今以上につらい時代、事象はあったが、どれも過去のものとなっている。灰色の雲が通過し、ツバメが飛び交う青空が現れよう。ツバメは誰がよこすのかわからない。それでも今年もまたツバメは戻ってきた」。
今、自分たちには何ができるのだろう。「これまでの生活が戻ってくるという確信を持ち続けてほしい」という言葉に、こちらが励まされた。夫婦仲良く子を育むツバメたちが、日本に帰って来る季節はすぐそこだ。