新型コロナウイルスの影響で、生産や納期遅れの懸念、中国市場やインバウンド（訪日外国人）減少に伴う日本市場での消費の落ち込み、パリ・コレクションで中国人デザイナーがショーを中止するなどネガティブなニュースが相次ぐ。
取材をする予定だった海外小売りも代表者の1人が来日をキャンセルすると伝えてきた。感染を恐れ、渡航者が減れば、旅行業界にもダメージは大きい。ある旅行会社は、ネットで手軽に旅を手配する今の時流に反して、趣向を凝らしたツアーを売りにしている。
主力客は年配で、当然、アジア向けを中心にキャンセルと予約減に見舞われている。目下、この会社では事態をどう乗り切るか、二つの意見が出ている。
一つは申し込み減に歯止めをかけるため、どんどん顧客に売り込みの営業をしていく。もう一つは無料で自社のツアーの魅力を伝える説明会を開催し、流行終息後に向けて今から需要を喚起する取り組みを強化する。人、物、金をどちらに集中するかが業績の浮沈を左右するため、議論が分かれているそうだ。
旅行は一時的に売れなくても物理的な在庫を抱えることにはならないだろう。両方を並行してやれたらそれが最善と思う。ファッション業界の場合、今売り逃したら、シーズンの旬を過ぎ、商品は売り物にならなくなる。事態はもっと深刻だ。
