《めてみみ》時間のデザイン

2020/02/05 06:16 更新


ダブレット

 20~21年秋冬パリ・メンズコレクション期間中、プレゼンテーションで新作を披露する日本のメンズブランドがさらに増えた。初めてプレゼンテーションをしたのは、LVMHヤングファッションデザイナープライズを受賞して世界から注目を集める「ダブレット」、ファッションプライズ・オブ・トウキョウを受賞した「ターク」などだ。

 ダブレットは手作りレストランを舞台に、世界各地の料理をオーダーする様々な民族スタイルのモデルを揃えた。心温まる多様性を見せるコレクションは、企業のイメージアップを狙ったビジネストレンドの多様性とは違って、デザイナーの井野将之のピュアな人柄を感じさせるものだ。

 話題を集めたプレゼンの一方で、シーズンを経て新鮮さがそがれているブランドもあった。ブランドをスタートして4シーズンくらいまでは、それまでデザイナー本人がため込んでいた世界で新鮮さを伝えられる。しかし、シーズンを経ても新鮮さをアピールするためには、自分が持っていなかった何かを絶えずインプットしていく必要がある。

 ブランドが大きくなるにつれ、生産管理や財務などの業務にデザイナーが忙殺されるケースを見かける。自分がクリエイションのための時間をどれくらい作れるのか。その環境をデザインするのも、デザイナーの大切な仕事である。



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