人混みでのマスクが当たり前の光景になった。訪日外国人だけでなく、この1週間でマスクを着用する日本人が随分増えた。電車や店の中、イベント会場など、マスクをしていない自分は、他人にウイルスをまき散らす配慮のない人と思われているのだろうか。だが、ドラッグストアに行ってもマスクは売り切れている。
かつて、「アメリカがくしゃみをすると日本が風邪をひく」「アメリカが風邪をひくと日本が肺炎になる」と言われていた。日本経済がまだひ弱で、対米輸出に依存していた時代のことだ。その後、日米間の格差が縮まり、日本だけが寝込むようなことはなくなった。
中国発の新型コロナウイルスが世界を冷やしている。世界第2位の経済大国であり、依然として世界の工場である。グローバル化の進展で、国境を越えた物や人の往来は格段に増え、その影響は広範囲に及ぶ。日本の繊維・ファッション産業もその衝撃を受け止めかねている。生産拠点の移転が言われてきたが、素材も製品も中国の存在はあまりにも大きい。人の移動の制限や展示会の中止に加え、生産や物流も地域によっては滞っている。先行きが見通せるまで時間を要しそうだ。
記録的な暖冬で冬物衣料が売れず、アパレル業界の体力を削っている。感染が終息し、これ以上、影響が広がらないことを願いたい。