《めてみみ》中国の存在感

2020/01/29 06:24 更新


 中国海関総署が発表した12月の貿易統計によると、19年の衣類輸出額(元ベース)は、日本、米国、EU(欧州連合)の主要3カ国・地域向けが前年割れとなった。日本とEUは景気低迷の影響が大きい。米国向けは昨年9月に米国が発動した対中制裁関税により9月以降、2ケタ減が続き、通年でも布帛が5.7%減、ニットは0.7%増という結果。衣類より中国への依存度が高いと言われる靴類も2ケタ減が続き通年でも0.7%減となった。

 日本だけでなく欧米も東南アジアへ生産を移転している。同地域は素材供給能力が低いため、中国から東南アジアへの素材輸出が増加し、中でもベトナム向けが多い。そのベトナムが2.3%減と減少に転じた。ベトナム国内で中国企業などによる素材の生産能力が増加したためだ。

 代わって輸出額が増えたのはパキスタンの33.9%増、ミャンマーの33.7%増。総額はベトナムの20~25%と少ないが、人件費の安さなどから繊維製品の生産が増え、しばらくは中国からの素材輸出が増えていきそうだ。

 19年に中国で生産された化学繊維は5011万トン、織布は457億メートル。中国では内需が拡大しているため、国内生産の増加は続くとみられる。東南アジアでの現地生産も拡大しており、アジア地域での中国繊維産業の存在感は増すばかり。



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