《めてみみ》最大の武器

2020/01/07 06:24 更新


 都内百貨店で2日から、冬のクリアランスセールが始まった。初売りと同時スタートの店舗がほとんどだったが、入店客数、売り上げともにほぼ前年並みだった。食品や特選雑貨は引き続き堅調な一方で、不振だったコートをはじめ、ショートブーツ、ネックウェアなど防寒アイテムは今一つだった。

 初売りは年間最大のイベントの一つだが、「集客力は年々、低下傾向にある」(都内百貨店)という。目玉の福袋は「オンライン比率が7割を超えた」(伊勢丹新宿本店)。来店しなくても購入できるようになったことが顧客に浸透してきたためだ。セールも同様だが、もっとリアル店でしかできない体験を提供しなければ、来店客は増えない。

 三越伊勢丹は16年に初売りを一部の店舗を除いて1月3日にして、元日と2日を休業した。百貨店にとって最も重要な歳時記である正月を、従業員が家族と過ごすことで、仕事に対しての意欲を高め、サービス向上につなげる狙いからだった。しかし、19年から初売りを2日に戻した。

 従業員一人ひとりのモチベーションや販売サービスの質の向上、生産性へのプラス効果など検証結果から判断したという。長時間営業による店頭要員の減少に伴うサービスの質の低下などの弊害をなくすことは、百貨店の最重要課題だ。リアル店の最大の武器は人を介した接客にある。



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