《めてみみ》駅ビルと街の文化

2019/11/08 06:24 更新


 東京・渋谷で商業施設の開業が相次いでいる。1日に駅東口に渋谷スクランブルスクエア東棟が開業、22日には建て替え工事をしていた渋谷パルコが新施設としてオープンする。いずれの施設にも、ラグジュアリーブランドやデザイナーブランドが入居し、新しい渋谷への期待は高い。来春夏には三井不動産が宮下公園にホテル、商業ゾーンなどの複合施設を開業する。

 東京メトロ副都心線と東急東横線の相互直通運転が13年春から始まったことで、人の流れが大きく変わった。横浜方面から渋谷を素通りして新宿へと買い物に向かう傾向が強まり、渋谷の地盤沈下が叫ばれた。そんな渋谷が今回の再開発で人を呼び戻せるのか、関心が集まっている。

 駅ビル型の商業施設と街の文化を巡っての考え方には、「駅ビル開発が人の回遊性をなくして、その街の文化を失わせる」という視点もある。都内で言えば、原宿には駅ビルがないからストリートカルチャーが残っているという意見だ。世界中で新商業施設の開発が行われているが、駅が巨大な商業施設と化しているのは、日本以外にはほとんどない。

 今回の渋谷の再開発は隣接する原宿、代官山、恵比寿に向けての回遊性を意識したものという。100年に一度の規模と呼ばれる再開発が、街の文化を守り発展させられるのか、注目したい。



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