《めてみみ》所有か利用か

2019/11/01 06:24 更新


 高級バッグのサブスクリプション(サブスク)型レンタルサービス「ラクサス」を運営するラクサス・テクノロジーズを、ワールドが連結子会社化する。57ブランドを扱い、会員数32万人。流通総額は420億円を超えるという。

 ワールドのサブスク型への出資は、ファッションレンタルの「サスティナ」を運営するオムニスに続くもの。古着店のグループ化やオフプライス店の出店を含め、リユースやシェアリングエコノミーへの投資が目立つ。「若年層をはじめとするお客の加速度的変化」への対応が狙いだ。

 サブスク型事業は、動画や音楽配信だけでなく、飲食、美容、ペット用品など様々な分野で広がっている。『サブスクリプション』(雨宮寛二著)を読むと、サブスクが「現代社会の中心へと躍り出て」いることが分かる。ミレニアル世代以降を中心とする「所有」から「利用」への消費行動の変化は、格差の定着、可処分所得の減少なども相まって、今後ますます進むという。

 事業者側からみても、定期収入が見込めるメリットがあり、さらに広がるのだろう。もっとも、所有欲を感じさせない〝商品〟なら、利用したいとも思わないはず。自己表現の手段であり、おしゃれを楽しむためのファッション消費ではなおさら。商品力の重要性はこれからも変わらない。



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