新年早々から19~20年秋冬メンズコレクションが始まっている。ロンドンからスタートしたコレクションは、メンズ市場の動向を左右するピッティ・イマージネ・ウオモへと舞台を移した。
若手デザイナーの孵化(ふか)装置として特徴のあるロンドン・コレクションは今シーズンも若々しいエネルギーにあふれたショーが多かった。コマーシャリズムに毒されていない若手のショーは、粗削りながらファッションへの情熱が感じられた。
出色の出来だったのが「チャールズ・ジェフリー・ラバーボーイ」。一昨年のロンドンのメンズ新人賞を獲得した話題のデザイナーだ。今の時代のキーワードの一つでもあるアンドロジナスを背景にしながら、服とその背景にあるファンタジーを描いた。コマーシャルで安易に売ろうとする方向にファッションが進みすぎると、人々はプロダクトとしての服の背景にあるストーリー、ファンタジーを欲し始める。単なる工業製品ではない、物作りの背景にある何かに思いをはせる。今はちょうどそんな時期なのかもしれない。
とはいえ、ファッションはファンタジーだけでも成立しない。そのストーリーにリアリティーを持たせるためにも、プロダクトとしての完成度は不可欠だ。その辺りの製品の流れがどうなっているのかを、ピッティ・ウオモが証明することになる。