18年は業務提携が多かった。主だったところでは、オンワードホールディングスとストライプインターナショナルの包括的な戦略的パートナーシップ、ワコールホールディングスとデサントの包括的業務提携、イオンとフジの資本業務提携、セブン&アイ・ホールディングスとイズミの業務提携などがあった。
経営資源の相互補完、強みを掛け合わせた新規事業の立ち上げ、業務効率化などが狙いだ。こうした〝同業〟同士の提携のほか、ニューテクノロジーやクラウドファンディングへの出資や業務提携もあった。従来型のビジネスモデルが通用しないと言われるなか、新しい技術、新しい作り手による事業活性化への期待があるのだろう。
これらの動きの背景にあるのは、事業を取り巻く環境の厳しさ。「財布のひもは一様に固い。今後も楽観視できるような材料は見当たらない」とあるアパレル企業の経営者。百貨店経営者も「ボリュームマーケットは引き続き縮小している」とみている。一方では「ニーズの多様化が鮮明」とも指摘していた。
業務提携によるシナジー効果が明確に見えてくるのは先かもしれないが、多様なニーズを的確にとらえたブランドや売り場開発を望みたい。加えて長年つきあっている既存取引先とも、さえないファッション消費を変革するような前向きな取り組み、従来の枠組みから脱した新しい発想の協業が各所で始まることを期待したい。