《めてみみ》情報過多の高速道路

2018/12/03 06:24 更新


 クルマを走らせていて、いつも道に迷うジャンクションがある。カーナビに案内してもらっていても、分岐を通り過ぎてしまったり、分岐の先の進路を間違えてしまったり。「今度こそ」と思っても、行くべき進路が見つからず、あらぬ方向に遠回りしてしまう。

 いくつも枝分かれした迷路のような案内標識。自分の進路を確認する間もなく通り過ぎてしまい、一瞬だけ見るカーナビの画面。「左へ、右へ」と呼びかける音声ガイダンス。情報が多すぎるから情報に頼りすぎて、進むべき方向を完全に見失う。道に迷う時はいつもこんなパターンだ。

 あるバイヤーが「情報が氾濫(はんらん)すれば判断が流されてしまう」と話していた。必ずしも情報が多ければ正確な判断ができるとは限らないようだ。気象予報や海外情勢、トレンド予測、素材・生産事情、他店の売れ筋、競合店の動向など収集範囲のどこかに線を引かなければ、判断に迷いが出る。「むしろ何も情報がない状況で、かすかな手がかりをもとに腹をくくって決断した時に結果が出ることがある」とも。

 現代は情報過多の高速道路を走行しているようなもの。複雑な分岐の進むべき方向を瞬時に判断しなければ、目的地に向かう道はあっという間に通り過ぎてしまう。必要なのは、氾濫する情報に惑わされることなく、不要な情報を遮断する能力だ。



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