《めてみみ》ハードルは高くても

2018/11/29 06:24 更新


 「今後世界の合繊市場の本命になる」。蝶理がリサイクルポリエステル事業を拡大中だ。欧米企業から環境配慮型商材の要望が強いことが背景だ。

 今年、繊維・プラスチックリサイクルの日本環境設計に商社が相次ぎ出資した。古着からポリエステル原料を再生する技術と試験工場に注目が集まる。透明なペットボトルを再生するのと比べ、服は使う原料や染料などが多岐にわたり不純物を取り除くのが難しいからだ。「きれいな状態に戻すのは本当に大変で手間がかかる。服を作る人にその大変さを知って欲しい」と高尾正樹社長は話す。古着を回収して新しい服に生まれ変わらせるには何が必要かと問うと、「リサイクルを前提に服を作ること」と明快だ。

 作って、売って終わりではなく、リサイクルしやすい素材や染料で服を作る。新しい服作りの考え方だ。そのため将来的にはリサイクルしやすい染料の条件などの公開も検討する。欧米企業に売ろうとすると環境配慮は前提になるが、国内向けだけだと「そこまでやる必要があるのか」との声もある。実現は困難に見えても、自動車などではリサイクルシステムが完成しており、衣料はむしろ遅れている。

 リサイクルを前提とした服作り。ハードルは高いが、まずは日本環境設計に出資する商社やアパレル企業などから始めるのは一つの手だ。



この記事に関連する記事