19年春夏欧州メンズコレクションは、スポーツやユーティリティーを背景にしたスタイルがメイントレンドとなった。ラグジュアリーストリートと「ヴェットモン」以降のストリートの流れが一大トレンドに成長した。
とりわけミラノでは、あらゆるブランドがスポーツスタイルを出しており、いささか閉口するような状況。しかし、これだけストリートにトレンドが集中すると、流れは一気に逆に振れることもある。実際に、パリではスーツの新しいあり方を探る動きも出ていた。ストリートではなくエレガンスの中で新しいトレンドを模索している。
大きなトレンドではないが、アンドロジナスなムードも気になるところ。80年代に登場したジャンポール・ゴルチエやジョン・ガリアーノらが持っていた、性差を超えたムードが再び脚光を浴びている。男らしさと女らしさの基準は時代とともに移ろいゆくもの。既存の男性らしさや女性らしさが窮屈になると、ファッションはそこを飛び出して新しい価値観を作ろうとする。
実は、スーツで新しいスタイルを作ろうとする流れも、時代背景としては共通している。かつて男性らしさの象徴と見られていたスーツが、男性らしさの変化の中でファッションとして、そのあり様を変えようとしている。次の時代のスーツがどうなるのか興味深い。