MDPオファー「メゾンドパルス」 実験的アプローチで作るジュエリー

2024/11/08 12:30 更新


コーヒー染めしたハートシェルでパールをつないだネックレスは24年秋冬の新作

 MDPオファー(東京)の「メゾンドパルス」は、21年に誕生したシルバー中心のジュエリーブランドだ。今年9月には仏パリの展示会に出展、京都の藤井大丸に1号店をオープンし、新しい一歩を踏み出している。

(中村維)

素材、加工から

 ブランドの原点であるムーンリング(税込み2万1450~2万9700円)は、リング状の天然石にシルバーが絡みついたような不思議な造形だ。「石の硬度や水分量などを計算しながら、工場の方と編み出した独自の技法で作っている」とデザイナー兼MDPオファー社長のサコさん。

 パールネックレス(3万7400円)の間につなぐ茶色のハート型シェルは、コーヒー染めをしたもの。アレルギーに配慮し、特殊な素材でコーティングしたシルバーネックレスもある。

 こうした加工は、サコさん自身が研究論文や医療用で使われる素材などを調べ、実験しながら編み出したものが多い。ブランドのコンセプトはトライアンドエラー。新たな発想や物作りへのアプローチを経て、ジュエリーを生み出すことをモットーとする。

人から人に

 デザイン面では「可愛い、身に着けたい、着けている人を見たいと思えるもの」を重視し、コーディネートに溶け込むことを心掛けている。ヒットアイテムの一つであるバルーンアートにヒントを得たリングやペンダントは、ぷっくりとした花や犬のモチーフが愛らしい。

 立ち上げ当初はギャラリーでの展示販売会をメインに販売し、その後展示会ベースに切り替え、セレクトショップへの卸売りや期間限定店を始めた。ECも開設。1号店を開いた藤井大丸は「初めて期間限定店を出させてもらい、その後もとてもお世話になった店」だ。京都は学生時代から縁があり、「人とのつながりを感じられる場。ジュエリーも人から人につないでいくもの」と話す。

藤井大丸の1号店

 年明けには、東京の事務所をショールーム兼ギャラリー兼アトリエにリニューアルする計画があり、「できる挑戦はまだたくさんあると思う」としている。

SAKO(サコ) 神戸出身。京都芸術大学でジュエリーを専攻し卒業。フランス国立高等装飾美術学校でのファッション専攻を経て、コム・デ・ギャルソンに入社。ジュンヤワタナベに企画として参画。21年に自身のブランドを立ち上げた。23年MDPオファー設立。27歳。


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