次世代ロンドン、80年代生まれの才能

2016/08/25 06:22 更新


 ロンドン・コレクション及びロンドン・メンズコレクションには、毎シーズン新人デザイナーが続々とデビューしている。その中でも今注目されるのは、今後の活躍に期待がかかるデビュー4、5年の若手。80年代生まれの才能が輝いている。(若月美奈=ロンドン通信員)

 ロンドンは昔から新進デザイナーの孵化(ふか)装置として知られている。ここ数年は「バーバリー」をはじめとするラグジュアリーブランドや中堅デザイナーも発表の場をロンドンに戻し、参加ブランドはバラエティーに富んでいる。とはいえ、依然3分の1前後が10年以降にデビューした若手で占められている。

 その理由の一つは、世界をリードするファッション教育システムにある。セントラル・セントマーチン美術大学をはじめとする大学のファッション学科には、世界中から優秀な学生が集まり、卒業後ロンドンを拠点に英国ブランドとして活動している。

 ロンドン・コレクションを主催する英国ファッション協会(BFC)の支援も厚い。90年代はじめから続く新人支援プロジェクト「ニュージェン」では、ショーやプレゼンテーション、展示会を含め毎シーズン10ブランド前後を選出し、発表経費に加えて作品制作費用も援助している。

  「ニュージェン」を卒業したデザイナーには英ヴォーグ誌との共催による20万?の資金援助とビジネスアドバイスが得られる「ファッションファンド」があり、「ニュージェン」手前の大学卒業したての新人には合同ショー及びパリでの展示会支援が得られる「ファッションイースト」もある。


 最近では、世界的な新人支援ブロジェクトのLVMHヤングファッションデザイナープライズ(以下LVMHプライズ)でも、初回の「トーマス・テイト」に続き、「マルケス・アルメイダ」「ウェルズ・ボナー」とロンドンブランドが独占受賞している。

 もっとも、そうした支援が終わってショーを休止したり、10年前後続いたもののその先が厳しくブランドを閉鎖するデザイナーも多い。支援があるうちにチャンスをつかみ、確実に成長を遂げる高度なクリエイティビティーが必須であることは言うまでもない。これぞという筋の通ったブランドの個性も問われる。

 現在、英国新進デザイナーのトップの座にいるのは、13年に29歳で「ロエベ」のクリエイティブディレクターに就任し、15年英国ファッションアワードでレディスとメンズの大賞をダブル受賞した「JWアンダーソン」のジョナサン・アンダーソン。

  そのすぐ後を追うのは11年春夏デビューのシモーネ・ロシャだ。80年代から90年代にその名をはせたロンドンファッション界の重鎮ジョン・ロシャを父に持つシモーネは、資本力はもちろん確実な生産背景を強みに、女性ならではの優しさと凛(りん)としたしたたかさを共存させたラグジュアリーなコレクションを見せている。

 さてその次に来るのは誰か。レディス、メンズ合わせて50ブランド近くいる若手の中から、予選を通過したと思える7ブランドを紹介する。

マルケス・アルメイダの16~17年秋冬コレクションから
マルケス・アルメイダの16~17年秋冬コレクションから

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