ビノテーク、アビラス、高繊が新素材を開発 体感しやすい消臭機能

2022/05/31 06:26 更新


各種アパレル、寝装品など消臭機能が求められる多用途の需要を開拓する

 婦人服OEM(相手先ブランドによる生産)が主力のビノテーク(大阪市)は、糸商のアビラス(奈良県大和高田市)、肌着主力の高繊(大阪市)との3社協業で開発した「瞬間消臭と持続する消臭機能」を特徴とする新素材「アビラス+(プラス)デオドラント」の販売を今夏に始める。これまで色のバリエーションがなく、機能は認められながらも販売に結び付かなかったが、染め糸が完成し、丸編みや織物の試作品も揃った。3社の販路を生かし、ファッションアパレルやユニフォーム、寝装品、身の回りの雑貨、産業資材、医療分野など幅広い用途を狙って需要を開拓する。

 アビラス+デオドラントは、臭い成分を化学反応で臭わない成分に変える化学的消臭機能素材。加工対象の繊維に消臭性を備えた薬剤を結合させ、効果を発揮する。綿をベースに消臭加工したナイロンを7%含む編地を試料に用いたボーケン品質評価機構の品質試験(繊維評価技術協議会の評価方法)によると、アンモニア、酢酸、イソ吉草酸の各臭い成分に対して120分後に90%台後半の消臭率となった。また、洗濯10回、30回後も消臭機能はほぼ維持されることがわかったという。

 3社が強調したいのは「消臭スピードの速さ」だ。既存の評価方法は120分後の消臭率を計測する。ビノテークは「例えばブーツを脱いだ後や、運動後のスポーツウェアの臭いといった悩みはすぐに体感できないと意味がない」と指摘。アンモニアは20分後の消臭率も計測済みで、消臭率は93%だった。

 アビラス+デオドラントの原料自体は国内メーカーが開発。数年前にアビラスが仕入れ、靴下向けに糸を販売すると好評だった。ところが糸染めが難しく、「色糸のバリエーションがなかったため、アパレルなど他用途の開拓が思うように進まなかった」。この課題に対してアビラスは、チーズ染色の工程で工夫を凝らし、糸染めに成功。「消費者が求める本物の機能を持つ商品をより広い分野で提供していきたい」というアビラスの呼びかけにビノテーク、高繊が賛同した。「糸よりも生地の方が提案しやすい」として、綿とナイロンの色糸を使った丸編みや織物の試作品を開発した。素材の販売については、バイオーダーあるいは備蓄販売など需要に応じて検討する。



この記事に関連する記事