文化・領域を超えた日本デザイン(吉田恵子)

2014/03/02 16:44 更新


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日本発のデザインが加速度的にクロスカルチャー化している。これが、フランクフルトで開かれた世界最大級の消費財見本市アンビエンテ(2月7~11日。2015年は)から得た印象だ。

今展では、日本が欧州外からの初のパートナー国となり、100を超える日本企業・団体が出展した。数年前までは、どちらかというと民族工芸色が強い出展品が多かったが、エキゾテックな香りが薄くなり、その場の空気に溶け込んだ品が増えた。結果としてより多くの来場者の心を挽いている感があった。

 

JC。行き交う人の目を引く、現代美術館的な展示空間
 
JCプロジェクト: Art and Textile Workshop [ホームスパン]xセシリエ・マンツ


クロスカルチャー化が熟すと同時に、これにクロスセクターを加えた、一歩先をいく試みがあった。「JC (Japan Creative)」というNPOが主催する、各種創造的プロジェクトだ。

例えば岩手県にはホームスパンという19世紀後半に英国から伝わった織物技法が残っている。この織物の作家と、デンマークのインテリアデザイナーが協業。そこから、同織物には無かったアイテム、インテリアにもなるブランケットが生れた。

文化面では、英国+日本+デンマーク、領域においてはテキスタイル+インテリアが、3次元に交差した結果だ。また、金沢の老舗「柴舟小出」の和菓子を、金属を得意とするフランスのプロダクトデザイナーが造形する、というプロジェクトも。二重に予想外組み合わせからは、和菓子を超えたカテゴリーの形が誕生。欧州のシックなカフェやレストランにもしっくり馴染みそうだ。

 

JCプロジェクト: 柴舟小出[和菓子]xポーリン・デルトゥア


JCで使われる技術は、伝統工芸に限らず、音響、素材化学、軽量化術などの工業技術までと、多彩だ。

事務局の夏目康子さんによれば、JCの目的は日本の優れた技術を継承していくこと、そのために世界各地・各界のデザイナーに新たな可能性を引き出してもらうこと、なのだそう。最終的には見本市の出展・来場者に応用および商品化してもらえれば、と考えている。アンビエンテでは、展示品を商品として買いたいという申し出も複数あったという。

 

アンビエンテ。今年は日本が、欧州外からは始めてパートナー国に


クロスカルチャーにクロスセクターを加えた試みは今後、家庭用品、インテリア、そしてファッションといったデザイン分野においても、新しい可能性を切り開く重要な手法となっていきそうだ。



フランクフルト在住。身長152cm。大きなドイツ人の中にいると小人のように見えるらしい。小回りだけは利くジャーナリスト兼通訳。ファッションからヘルスケアまでをカバーする。

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