昨年8月に上場したクラシコム(東京、青木耕平社長)の22年8月~23年1月決算は、売上高が30億2700万円、営業利益4億9500万円となった。売り上げの9割を占める同社ECサイト「北欧、暮らしの道具店」でのDtoC(メーカー直販)売り上げが想定をやや上回って推移。販売・管理費を若干抑えたこともあり、各利益も業績予想を上回った。
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22年11月~23年1月の業績は、売上高14億4600万円(前年同期比13.0%増)。このうち、DtoC売り上げは13億9800万円(17.3%増)、BtoB(企業間取引)での広告事業であるブランドソリューション売り上げは、一時的な人的リソース減により、4700万円(46%減)。販促費、人件費が増え営業利益は2億2400万円(0.6%減)。営業利益率は前年同期比2.1ポイント低下し15.6%。
売り上げの6割を占めるアパレルは、高単価の重衣料が好調で計画を上回った。また、ヒット企画として再販したオリジナルのブラックフォーマルは、入卒園などで活用できるストレッチ性のあるセットアップを出したところ、引き合いが強く、「フィットするフォーマルウェアがまだ足りていないと確認できた」(青木社長)とし、今後も強化する。
昨年からの原料高での仕入れ価格上昇は、できる限り小売価格に転嫁。この1年で、アパレルの全SKU(在庫最小管理単位)の3分の1で、10%前後の値上げを行った。オリジナル比率の高まりもあり、商品原価率は従来水準を維持している。
現時点で値上げによる需要減退は起きていない。ただ、国内企業物価指数が過去最高水準で推移していること、さらなる電力料金の値上げの告知などを受け、「社会全体で生活コストの上昇が予想されるなか、需要にどう影響するかはこれから見えてくる」(青木社長)とコメント。このため、上期の好業績を受けながらも、通期での業績予想は売上高58億100万~60億4400万円(前期比12.4~17.1%増)、営業利益8億6600万~9億300万円(3~7.3%増)と据え置いた。