心が大切(藤永幸一)

2013/09/27 00:00 更新


今月は、ロールプレイング月間でした。商業施設の館内大会、あるいはアパレルの社内大会など、「接客の役割が大切になる!」ということで、多くのスタッフが積極的に参加をして、盛り上がっていました。長いこと研修のお手伝いをしているアパレルの社内大会もつい先日、無事に終わりました。広島の商業施設の館大会も先週、無事に終了しました。

研修では、「きちんとお客様をお迎えして『来店に対する感謝』を伝えよう」ということを最初に話します。見ず知らずのお客様に、たった一言、「いらっしゃいませ」と声をかけただけで、すぐに、いきなり商品説明をはじめるのはいかがなものでしょうか?・・・というスタンスです。まずは、お客様の心をこちらに引き寄せ、安心してもらうことが肝心と説きます。その具体的な方法として、ウェルカムアプローチというスキルを提供してきました。

アパレルの社内大会では、見事に、自然に、さりげなく、このアプローチがとりいれられていました。広島の館大会でも、スタッフ研修に参加しているテナントのみなさんは、きちんとウェルカムアプローチを実践していました。

そこそこの笑顔で、「いらっしゃいませ」と声かけをして、商品に触ると、すぐに商品情報を話し始めるという、従来の販売スタイルに較べると、「間(間合い)」があり、とても心地よいスタイルになります。そう、まるでお得意様とお話を始めたかのようです。このスタイルが、きちんと浸透するまでに、随分と時間がかかりました。でも、間違っていない、これからますます大切になると確信できました。

大会では、いきなり、お客様の持ち物を褒める、着ている物を褒めるといった、すこし古い感じの販売も多く見られました。初対面のスタッフからの言葉となると、よほど心を動かして生まれる言葉でなければ、わざとらしいニュアンスになります。

自分のスタイル、着こなしに自信を持っている女性ならば、「わかっているわ!」くらいの気持ちでしょうし、自信のないお客様の場合には、気恥ずかしさを感じるでしょう。よほどの「レア」なもので、あきらかにお客様がそれを身につけていることに、「気付いてほしい!」オーラを出されている場合は別として、安易に服や持ち物を褒めるのは、時として地雷を踏みます!どうも「男性」目線のアドバイスを感じます。

「男性」目線といえば、もう一つ気になることがあります。

販売の強化、マナー向上を目指しているところが多く、スーパーのレジでも、いちいち手を前に揃えて、きちんと立ち、「いらっしゃいませ」というところがあります。そうです、百貨店の開店時に案内嬢が見せる、あのスタイルです。ほんとうに必要でしょうか?スーパーのレジは、リズミカルに、スピード感を持って対応することが、お客様が求めていることではないでしょか?シンプルに、「ありがとうございました!」の台詞を、明るく、元気に伝えて、お待ちのお客様には、笑顔で「いらっしゃいませ」「お待たせしました!」・・・で、十分でしょう。

こんなシーンにも遭遇しました。

所用があって立ち寄った、自動車用品専門店での一コマです。ここでも「挨拶運動」が花盛りで、スタッフがいちいち立ち止まり、百貨店の案内嬢よろしく、「いらっしゃいませ」です。

こちらが階段を上がっていると、降りてきたスタッフが、階段の中央に立ち、しかも、こちらより高い段から、「いらっしゃいませ」と声をかけてきました。スタッフの後ろを歩いて降りてきたお客様が、急に止まったスタッフにぶつかりそうになり慌てていました!

せめて、箸の夜くらいの気遣いは欲しいものです。階段の中央を陣取ってなど、お客様の目線の行為ではないでしょう。しかも、こちらより、高い段から見下ろすようになんて!パニエ立ちスタイル(百貨店の案内嬢スタイルのことです)を強制し、挨拶をすることだけを求めると、こういう事が起こります。

本当のお客様の気持ちを察すれば、違うスタイルにたどり着きそうなものです。

目の前の、お客様の気持ちに寄り添ってみる・・・もっと素直な気持ちで、感じてみる必要があります。



20年のアパレル体験で痛感したこと=仕事の悩みは、本当のところ、「人間関係」。2000年に、「レックス」を設立。「仕事を楽しむスキル」を学んで、「元気な現場」をつくるサポートをスタート。自分が「楽しい!」と感じれば、相手にも好感度が伝わる!大手アパレルとの長いお付き合いで、スキルは常にバージョンアップ中!



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