【パリ=松井孝予通信員】仏ケリングは、「グッチ」の不振を主因に、23年から減収減益が続いている。昨年9月にCEO(最高経営責任者)に就任したルカ・デ・メオ氏は25年度決算発表の席で、同年を「回復の年」とはせず、「意思決定の年」と表現した。「転換点」「移行の年」という言葉を使い、業績の底打ちを強調するのではなく、再建に向けた準備段階であることを明確にした。課題は市場環境ではなく経営側にあるとし、「競争相手は自分たち自身だ」と述べ、まずは基盤の立て直しが不可欠と強調した。
ブランド戦略では、「ボッテガ・ヴェネタ」や「イヴ・サンローラン」には拡張の余地がある一方、主力のグッチは最悪期を脱しつつあるものの、再定義の段階にあると整理した。「アレキサンダー・マックイーン」は構造的な再建が必要なブランドと明確にした。ブランドごとに役割と局面を分ける、ポートフォリオ経営の姿勢がにじむ。
再建の中核は構造改革だ。店舗網を「量から質」へ転換し、製造・調達・物流といった上流工程を再設計する。さらにブランド横断で製造・調達・流通を束ねる基盤を整え、従来のブランド別縦割り体制を見直す。ホールディング型から統合型へと進化を図る姿勢は、自動車産業出身のデ・メオ氏らしい合理性を映す。
効率化も経営理念であるサステイナビリティーと矛盾しない。「より少なく、より良く生産する」と述べ、構造改革をブランド価値と環境負荷の両立の延長線上に置く考えを示した。再建の全体像は4月16日のキャピタル・マーケット・デーで示される見通しだ。25年は準備の年、26年以降が実行段階となる。