ファッションデザイナー、髙田賢三の軌跡をたどる展覧会「髙田賢三 夢をかける」が7月6日から東京オペラシティ・アートギャラリーで始まった。1939年に兵庫県姫路市に生まれ、2020年に81歳で急逝したデザイナーの歴史をひも解きながら、当時の作品を展示して人物像を浮かび上がらせる。9月16日まで。
展示は、髙田の人生を振り返る年表から始まる。最初の写真は幼少期に家族で撮影したもの。7人兄弟の三男だった髙田は、まじめな表情で背筋を伸ばしている。
そんな少年は次第に宝塚に興味を持ち、女性誌の『それいゆ』や少女雑誌の『ひまわり』を読みふけるようになる。ファッションの世界に傾倒していく様子がわかる。文化服装学院入学後、60年に装苑賞を受賞。当時の作品や仲間とともに並ぶ写真、メーカーに持ち込んだデザイン画なども展示されている。
26歳で渡仏。「日本のきれ」を使った初期の作品をはじめ、「アンチクチュール」「ペザント・ルック」「ミリタリー・ルック」など70年代に発表したテーマに着目して紹介する。日本、ルーマニア、ロシア、アフリカなど民族衣装から着想したカラフルな作品も並ぶ。髙田を象徴する花柄のドレスも勢揃いする。
「ケンゾー」での最後のショーは90年。30周年を意味する30ans(トランタン)をテーマにしたショーを、映像で紹介している。展示の最後には、書きためたデザイン画も並ぶ。最後のインタビュー映像では、「70年代はお金もなかったし何もなかったけれど、怖いもの知らずで自由さがあった」と語っている。