JSFA第2回総会 共同代表にアダストリア、伊藤忠商事、ジェプラン

2022/07/04 06:29 更新


左から、アダストリアの藤本朱美氏、伊藤忠商事繊維カンパニーの下田祥朗氏 ゴールドウインの勝田悦弘氏、ジェプランの髙尾正樹氏

 「ジャパンサステナブルファッションアライアンス」(JSFA)は6月30日、第2回総会を都内で開催し、今年8月以降の次期(第2期)共同代表にアダストリア、伊藤忠商事、ジェプラン(旧社名、日本環境設計)を選出した。同総会時点の会員企業は19社、賛助会員は25社。

(北川民夫)

 第2回総会後の会見では、前総会(21年11月)以降の活動報告と次年度活動方針を発表した。活動報告では、JSFAの主要な会議体である月1回開催の定例会を通じて①会員企業と日本、世界市場におけるファッションロスゼロ、カーボンニュートラルに関する現状把握②JSFA会員企業の現状把握調査などにおける独占禁止法への対応③ファッション産業が対応するべき人権問題――への討議状況や対応が報告された。

難しい現状把握

 JSFAは第1期の活動で、温室効果ガス(二酸化炭素換算)排出量とファッションロスの現状把握に努めた。温室効果ガス排出量について正会員、賛助会員企業によるアンケートを実施、34社から回答を得た。スコープ1、2、3の把握状況の結果は、スコープ1が10社、スコープ2は11社、スコープ3は3社となり、特にスコープ3の把握の難しさが明らかになった。JSFAは「個社では解決できない課題に取り組むのがJSFAの役割。会員企業各社がスコープ3を把握できる体制の早期整備を、パブリックパートナーの関係省庁と共に確立していきたい」(JSFA共同代表、ジェプランの高尾正樹代表取締役執行役員社長)としている。

 ファッションロスの現状把握については①自社調達の原材料②自社調達の原料③自社調達の副資材④製品(新品・中古)在庫⑤回収資源――に分けたサプライチェーンにおけるロスに関する情報開示を求めるアンケートを正会員19社対象に行った。その結果、「開示可能」と回答した企業は全体を通じて約10%前後にとどまった。この要因として「開示項目が多岐にわたっており、数字そのものを把握する体制が整っていない」企業があるとともに、「個社のコスト構造を開示してしまうことにつながりかねない」「独禁法との兼ね合いがある」「ファッションロスなどネガティブな要素を公開することへの躊躇(ちゅうちょ)」などを理由に、情報開示に消極的な会員企業があった。今後の対応としてJSFAは「各企業とコミュニケーションを取りながら情報開示が進むように努めたい。開示の在り方や、情報の扱いに関するルール作りを進めながら、安心して情報を公開できる状況を作りたい」と強調した。

人権への取り組み

 次年度活動方針については①現状把握の推進②正会員で構成される「技術開発のための環境整備委員会」「コミュニケーション委員会」の下にワーキンググループを発足③当面の2030年目標に向けたロードマップ策定④循環利用のグランドデザイン策定――などを掲げた。

 第2期共同代表であるアダストリアの藤本朱美経営企画室・アシスタントマネジャーは「現状把握において個社の情報開示を進め透明性を高めることが大きな課題」。伊藤忠商事繊維カンパニーの下田祥朗ファッションアパレル部第三部繊維原料課長は「人権への取り組みが重要。各会員企業としっかりと話し込みながら推進していきたい」と強調した。



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