JR豪華列車の春夏の制服、東北の「淡い甘酒色」 

2017/05/22 06:20 更新


 JR東日本は、運行が開始したばかりの豪華寝台列車「トランスイート四季島」の乗務員らのユニフォームについて、プレゼンテーションを行った。運行前に披露した秋冬バージョンに続き、今回は春夏バージョンを公開。デザイナーの滝沢直己自身が、デザインに込めた思いを語った。

 今回の制服デザインについて滝沢は、「通常のユニフォームのプロセスとは違う特別なものだった」という。動きやすさや汚れにくさを重視するだけでなく、列車のコンセプトである東北を表現するために、東北の伝統をリサーチするところから始まった。工芸品やテキスタイルなど、現地で受け継がれてきたものが反映されている。

 「東北のテキスタイルは、ホームスパンや草木染め、小千谷縮みなど東北の風土にあった生活密着型の素材が多い」と滝沢。そのなかから、春夏用のジャケットなどに選んだのは日本毛織の100%ウールのサージ。耐久性の高さや自然なストレッチ、形状を記憶する性質などウールが持つナチュラルな機能に着目している。

 装飾には、東北の工芸品の技が生きている。ボタンは宮城県に伝わる漆器の「鳴子塗り」。車掌やレストランクルーなど職種を表示するピンバッチは、津軽組ひもで作った。ジャケットなどのベースカラーは、からむし織りやシナ布に見られる「淡い甘酒色」、パイピングはフォレストグリーン。フィット感と可動域の広さを両立させるために、立体裁断にもこだわったという。

 5月初旬の初回運行では、シニア夫婦だけでなく、新婚夫婦、母と娘、一人旅などさまざまな層が乗車した。ラグジュアリーな設えや空間だけでなく、温かなもてなしも話題になっている。

四季島の専用ラウンジでユニフォームを披露した(中央は滝沢氏)



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