《連載・責任者が語る、欲しい人材》② マツオインターナショナル人材開発部部長・大石茉莉氏 考える体力と変化への柔軟さ(3月8日付け)

2013/07/16 09:38 更新


 国内産地との取り組みで特化した技術を育成しながら、中国、欧州に直営店を出すなど、国際的な企業活動を推進している。服地卸から分社する形で、専門店向け婦人服製造卸としてスタートし、98年に本格的に小売業に進出。変革を続けながらも増収を続けており、学生からの人気も高い。

 ――今春の採用実績と来年の計画は。
 13年採用実績は東京、大阪各10の20人。この数年は東西10人ずつのペースとなっている。今年の内訳は東京が総合職2、販売職7、技術職1人。大阪が総合職4、販売職2、技術3、一般職1人。技術職でも4年制大学を卒業後、専門学校に入学した人など、そのほとんどが4年制大学卒だ。技術職は毎年必ず採用している。当社の技術職の最終試験では、立体縫製の試作などがあり、かなり高いハードルと言われている。しかし採用においては、スキルよりマインドを重視している。
 マイナビで受け付けている今年採用のエントリーは、約2200人だった。そのうちオープンオフィスでは700人強が参加している。来春も採用数は同規模を考えている。
 
 ――人材に対する考え方、求める人材は。
 会社の意義は存続することと捉え、世代の断絶をなくすため、毎年採用のスタンスを取っている。絶えず層を作っておき、必ず牽引する人材がいる状況にしている。当社は服地卸から分離独立したアパレルに始まり、小売業に進出するなど、これまでも、そして将来も変化を続ける。我々だけでなく市場もまた変化する。他産業ではかつての主力商材の市場が急激にしぼみ、かつては考えられなかった全く違う商品を主力としている例もある。今は服が好きでも、遠い将来にもその好きな服を作っているかという想像力も必要。新入社員は10年、20年先には、社を担う役割となっているはず。だからこそ変化に対して、柔軟に対応できる人材を採りたい。

 抽象的だが、考える体力のある人が良い。変化を起こす力のある、今はなくてもそうしたポテンシャルを持った人を望んでいる。自分で仕事を作り、仮説を立てて行動できる実行力のある人が欲しい。逆に言えば、考えずに行動する人では困る。
 ――人材育成の考え方やプログラムは。
 当社の服は喜びを与える服でありたい。デザイナーの思いが込められた服を顧客に伝えるには、ホスピタリティの素養が必要。上質のホスピタリティは商品の付加価値に欠かせない。環境変化への対応力だけでなく、謙虚さも併せ持って欲しい。
 
 入社後1年間、店頭に出てもらう。それと並行して、7回のフォローアップ研修をしている。フォローアップ研修では、午前にメンタル面を、午後には営業は数値分析、企画は店頭戦略といった風に職種別に店頭支援の方法などを学んでもらう。2年目以降も自己啓発的なものを主眼として、スキルアップや店長への研修などを整備していく。若い社員にとどまらず、全社員が何らかの研修を受ける制度を策定中だ。

 ◇記者の目線◇
 グローバルな企業活動と共に成長を続けているのには、変化対応への準備と覚悟がしっかりしている印象だ。その影には人材育成における教育への強い熱意が伝わってくる。



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