伊藤忠商事繊維カンパニーは来年度、取引先の小売り事業支援を大きな柱に育てる。「販路がネット中心へと商売のやり方が大きく変わってきた。伊藤忠の知見とテクノロジーを融合し、取引先の悩み解決に役立つ」(諸藤雅浩常務執行役員繊維カンパニープレジデント)とECやAI(人工知能)を活用したベンチャー企業との連携など新たな取り組みを加速する。
(高田淳史)
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AI技術の活用ではITベンチャー企業との連携がスタート。今期、レリアンで活用を始め、実証実験をした上で取引先に提供する。EC販売が伸びているジョイックスコーポレーションは「リアルとECの在庫の一元化」が重点。システムを構築し、来期には顧客への提案を始める方向。このようにまずはグループの事業会社で新たな仕組みや技術を導入し、活用した上で取引先に広げていく。
「2年も3年も時間をかけては環境が変わる」とスピード感を持って大きく進める。「商いの次世代化をこうした施策で進める」と諸藤繊維カンパニープレジデント。
来年は五輪イヤーでもあり、国内外でのスポーツ事業の伸びに期待する。特に中国ではアンタなどと連携し、「スポーツ内販事業が非常に好調」と大きく伸びている。中国内販ではボストンとの取り組みも進む。「ジャンポール・ゴルチエ」をボストンに紹介、協業を始めるなど「シナジーが出ている」。
海外市場は香港IPAなどを活用し、アジアでの内販事業を進める。今期の連結純利益(IFRSベース)は330億円が目標。「セレクトショップなどに向けたOEM(相手先ブランドによる生産)中心に堅調だが10月以降ファッションの動きが悪い」と足元の商況は厳しいと見る。