ワイルドでエレガントな男性像に焦点
【パリ＝小笠原拓郎】17～18年秋冬パリ・メンズコレクションに、ちょっとワイルドな雰囲気とエレガンスの両方を持った男性像が広がっている。
ハンドクラフトの技術を生かしながら、どこかスカした雰囲気に仕上げるスタイルが新鮮だ。
■ヴァレンティノ
ヴァレンティノは上質な素材にタイポグラフィーのアップリケをのせて、ストリートのエッジを取り入れた。カシミヤダブルフェイスの上質なコートやケープは、バックにタイポグラフィーのアップリケが描かれる。スーツやジャケットの中に着るニットにも同じタイポグラフィー。上質な素材とクリーンな色と文字の配色が楽しく、若々しい。ブルーチェックのスーツも細いボウを巻いているが、あくまでもキャップとスニーカーでカジュアルに。パンツのシルエットがほとんどテーパーのないストレートで、それにクッションを入れることでフレアのように見える。ジャケットやコートはパテントレザーや大柄のウールチェックで、少しレトロな雰囲気を漂わせる。
■ハイダー・アッカーマン
ハイダー・アッカーマンが見せたのは、タータンチェックとレザーを組み合わせたワイルドなスタイル。チェックとレザーを切り替えたベスト、ヨークをレザーで切り替えたチェックのシャツジャケットなど、手仕事を生かした繊細な切り替えで見せる。ピンクのウォッシュドベルベットのブルゾンは、艶やかな色とショート丈のバランス。モヘヤのハウンドツースのセーターは、柔らかな毛足と柄のバランスとともに、背中にとったボリュームが不思議と色気を感じさせる。前シーズンのバーンアウト（焼け焦げ）柄の発展か、ジャケットやコートのヘムにウールとベルベットでバーンアウトのようなはぎ合わせがされる。ヘムラインにのせられる繊細でアブストラクトな光沢がワイルドでありながらエレガンス。
■バレンシアガ
バレンシアガはテーラーリングをベースに、毒気とスポーティーが入り混じったスタイルを見せた。マキシ丈のコートに細いタイ、そこにスキーブーツのような大きなシューズをコーディネート。スーツはノータイで素肌をさらし、やっぱりソールの分厚いスニーカーと合わせる。シャツとフード付きのシャツを重ね着してすっぽりと頭巾をかぶるようにしたレイヤードスタイルに、ボリュームたっぷりのパッド入りスカーフを巻いたスタイルもある。ダウンジャケットは背中に分量があるパターン。コートのスクエアショルダーやブルゾンの極端な肩傾斜のパターンなど、そのボリューム感が独特で存在感がある。
■ファセッタズム
ファセッタズムがボリュームたっぷりのストリートスタイルを揃えた。ずるずるのスウェットにチェックのネル地を重ね、ダウンジャケットはデコンストラクトに切り替えられる。ベルベットのパジャマスーツもパッドが入ってモコモコの量感。シアリングコートはヘムがアブストラクトなカットで、チェックのパンツも裾は切り刻まれてフリンジ状になっている。ヘムにスリットのような切れ込みを入れてフレアラインを作るパンツが新鮮。
■Yプロジェクト
Yプロジェクトは、サイドシームが揺れるようにねじれて独特の造形を作るスタイルを見せた。パンツやジャケットは、サイドシームや袖の外側に刺繍テープのような張りのある素材を貼り付ける。そのシーム部分の付属に引っ張られるように独特のカーブが作られる。パンツの折り返しを生かしたディテールも面白い。デニムパンツは、まるでサイハイブーツと合わせたかのように太ももまで大きくロールアップ。コーデュロイパンツは重ね着をしたように、たくさんのロールアップのディテールが重ねられる。
（写真＝ｃａｔｗａｌｋｉｎｇ．ｃｏｍ）
