日爪ノブキさんは、パリを拠点に活動する帽子デザイナー。多くのオートクチュールブランドと協業した後、20年春夏に自身のブランドをスタートした。日本人として初めて、フランス国家最優秀職人賞を受賞するなど、年々評価が高まっている。
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9月に東京で初めて開かれた「トラノイ・トーキョー」には、パリを拠点にするデザイナーとして招待された。ラッピングをテーマにした新作は、ストローハットをチュールでふわりと包み込んだ。定番のアイテムを手仕事の技術で独創的な作品に昇華する。その力は多くのデザイナーに認められ、近年では「ロエベ」との協業が話題になった。
文化服装学院ではファッションを学んだ。「当時は10人中8人が服ではないというような、作り込んだ服を作っていました。しかし服のデザインには制限がある。一方で、帽子は頭にさえ乗ればよい。デザインに制限がない。自分が得意とする自由な表現を形にできると知り、帽子作りを始めた」という。将来、自身のブランドで服作りに挑みますかとの問いには「帽子で最も高いところまで行ってから、服を作りたい。そうしないとぶれちゃう」。帽子という作品の精度を一層高めて、飛躍しようとする意志が垣間見れる。
■日爪ノブキ(ひづめ・のぶき)
04年文化服装学院を首席で卒業後、渡仏。パリを拠点に活動する。