東京・上野、アメヤ横丁にあるヒノヤ本店は、ジーンズ好きに広く知られるアメカジショップだ。日高辰也さんは今年4月、店長に就任。コロナ禍を乗り越えた同店のかじ取りを任された。創業70年を超える伝統ある店の、〝守るべきもの〟と〝変えるべきもの〟を見据え、名店の未来図を描く。
約25年前にヒノヤへ入社。複数の系列店でスタッフや店長を経験し、販売一筋でキャリアを重ねてきた。アフターコロナの今、本店の店長を任されて思うのは「コロナ下でも日常でも変わらず、来てくれるお客様に、いいサービスを提供することが大切」ということだ。
店長として最も重視するのは人材育成だという。カジュアル専門店ながら上品で丁寧な接客が評価され、長年通う顧客を多く抱える同店にとって、スタッフ力は伝統であり、大きな武器だ。
「接客マニュアルは作らず、押し付けるような教育もしない。先輩の接客を見てまねて、お客様との関わりの中で実践的に学んでほしい」と、マニュアルにとらわれない、個性豊かなスタッフが集まる店を目指している。
コロナが明けたことで、店の売り上げは上がってきた。インバウンド(訪日外国人)も戻ってきており、店がにぎわいを取り戻し始めている。
そうした中、課題は若い新規客の獲得だ。「試行錯誤しながらVMDを今風に変えていき、若者の目にも留まるようにしたい。SNSも強化し、認知度を高めていく」と日高店長。「若い人からも愛される楽しい店にしていくのが目標」だ。