広島を拠点に複数の専門店を運営するエヌ(中本健吾代表)は、7月17日から上映される広島県尾道市が舞台の映画「逆光」を支援する。96年生まれの俳優、須藤蓮さんが初めて監督した自主製作映画だ。1年間を通して若手アーティストを支援する取り組みの一環。7月16日から広島市・袋町のセレクトショップ「レフ.」で、プロモーションイベント「ジャパニーズヌーヴェルヴァーグ展」を開く。
(友森克樹)
歌手をサポート
同社は昨春から新型コロナウイルスの感染拡大で影響を受けたアーティストの支援活動をしている。昨年は、岡山県出身のシンガーソングライター、さとうもかさんをサポート。広島でラジオ番組を放送したり、協業商品を販売するなどして、彼女の認知拡大に尽力した。
須藤さんは東京出身だが、映画の舞台が尾道であり、中本さん自身が日本映画に思い入れがあったことなどから支援を決めた。須藤さんの「若者ながら、はるかに年齢が上の僕に物おじすることなく連絡を取ってくる人柄にも引かれた」(中本さん)という。同映画は、尾道から上映を始める。「地方から東京へ」という従来とは逆の映画配給を実現し、「新たな映画体験の可能性を掘り起こしたい」(須藤さん)と考えている。
16日から開催するイベントのコンテンツは主に五つ。映画の協業商品の限定販売や、映画で使われた衣装や小道具の展示、映画と同じ時代設定の70年代の古着の展示販売、70年代の邦画の劇場用ポスターの展示販売、70年代の『キネマ旬報』をはじめとする映画関連書籍の展示だ。会期は8月3日までの予定。
古着屋で働いた経験があるほど「ファッションが好きで憧れがある」という須藤さんは、「映画は総合芸術でありながら、閉鎖的な業界。もっと多方面と手を組むべき。ファッション業界と交わることで、衣装や販促のセンスが高まり、より多くの人が映画に興味を持つきっかけになってもらえたら」と考えている。今回、逆光のスタイリストは、オンライン古着店「ホワイエ」のオーナーの高橋達之真さんと木和田昴さんが務めた。イベント中の古着の展示販売も同店が担う。
二刀流でリード
中本さんは、「今は二刀流の時代。映画監督でありながら、ファッションを盛り上げられる。ファッション小売店を運営しながら映画を盛り上げられる。そんなことができる人が時代をリードすると思う。須藤君から『ファッションのフィルターを通して映画を紹介したい』と相談され、とても共感した」と今回の取り組みについて説明する。
同映画は7月末までクラウドファンディングを実施、中旬で約470万円を集めている。