完全予約制のメンズ専門店「ヴィアレスタ」(名古屋)を運営するゴッシュ代表の末廣幸大さんは、情報の収集・分析を軸に、専門店運営に生かしている。同店は今年夏に移転し、完全予約制の運営を始めた。普段はギャラリースペースだが、予約が入ると服が並び、専門店に変化する。
末廣さんは会社を立ち上げた当時から「顧客の趣味嗜好(しこう)をインプットし、それに基づいたアプローチ」を重視し、専門店の運営に取り組んできた。この間、都心にあった店を移転し運営形態を変化させたのは、集客数よりも客一人ひとりとの関係作りを通じて、より質の高いサービスを提供したいと考えたためだ。一対一の対話の中で服の好みだけでなく、服を着てどこへ行き、何を食べるか。趣味嗜好まで知り、説得力ある提案につなげる。また、得たデータを分析し、別の顧客への提案にも生かす。「無駄話の中に重要なものが眠っている。話を聞くことで、物を売るだけでなく、アートや雑貨、人との出会いも促し、役に立ちたい」。
予約時以外をギャラリーとして活用するのも、情報を重視するからこそ。ブランドや企業に期間限定店の場として貸し出すことで、そのブランドと客のニーズを検証するなど、可能性を模索する場として機能させる。名古屋の合同展示会「アトラクション」も運営し、多様なブランドの出店も後押しする。