ゴールドウインとバイオベンチャーのスパイバーは、かねて研究開発に取り組んできた構造たんぱく質素材を使ったアウトドアジャケット「ムーンパーカ」を、12月12日に数量限定で発売する。ムーンパーカは化石資源に依存せず、微生物による発酵プロセスでできた構造たんぱく質を用いて市販される、世界初のアウトドアジャケットとなる。29日に購入申し込みの受け付けを始めた。
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共同プロジェクトレーベル「ザ・ノース・フェイス・エスピードット」の、Tシャツに続く第2弾アイテムとして50着用意する。3層からなる表地の一番外側の生地に、共同開発した構造たんぱく質素材「ブリュード・プロテイン」(BP)を100%採用。Tシャツで使うBPはカシミヤに似せ、しっとりとした肌触りと保温性が特徴だったが、ムーンパーカではアミノ酸の配列や紡糸条件を変え、アウターに必要な耐久性・安定性に優れたナイロンのような繊維に仕上げた。
表地の中間層には防水透湿ラミネート、ダウンには過酷な環境下で使う防寒ジャケットにも採用された900フィルパワーの「クリーンダウン」を採用し、防水透湿・保温性を確保。裏地には、人類で初めて月面着陸に成功したアポロ11号が撮影した地球をプリントした。11月22日に渋谷パルコに開業する新業態「ザ・ノース・フェイスラボ」で、15万円で販売する。
両社は来年以降、BPを使ったフリースやセーターなどのミドラー、インナー、ムーンパーカの進化版を出す計画。繊維・ファブリックではファーや革に代わるもの、透湿防水生地、伸縮性の高い繊維などの開発を進める。現在タイで建設中のスパイバーのプラント工場が21年に稼働すれば、価格を抑えた商品も出せるという。