伊ファッション界 「持続可能性」を新たな魅力に

2017/09/27 04:28 更新


 【ミラノ=高橋恵通信員】サステイナビリティー(持続可能性)で他をリードする――ミラノスカラ座で24日、初めて「グリーン・カーペット・ファッションアワーズ・イタリア2017」が開催され、素材から製品まで一貫できるイタリアならではの総合的なサステイナビリティーをイタリアンファッションの新たな魅力として掲げた。

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 主催したのはミラノ・コレクションを主催するイタリア・ファッション評議会と、俳優コリン・ファースさんの妻リビア・ファースさんが代表を務めるコンサルタント会社エコエイジ。

 リビア・ファース代表は、「ファッションのサステイナビリティーのために、これだけの規模の投資をするのはイタリアが世界初」と話す。同イベントの総費用は200万ユーロ 。うち75%は伊経済発展省がメイド・イン・イタリーのプロモーションとしてイタリア貿易振興会に拠出している割り当て金で、25%は企業の協賛金だ。

 評議会のカルロ・カパサ会長は、「ミラノのファッションウィークの柱はサステイナビリティー、若手育成、デジタル強化の三つ。今回のイベントはビッグブランドと若手デザイナー、優れた素材メーカーをつなぎ、メイド・イン・イタリーの伝統と革新を語る場であると同時に、サステイナビリティーがファッションウィークの大きな軸でもあると示す重要な機会になった」という。

 同評議会の取り組みは、12年の「イタリア・ファッション業界におけるサステイナビリティーに関するマニフェスト」告知に始まる。16年からは化学物質とリテールでのガイドラインの制定を進め、20年までには他のガイドラインも含む計画の完了を目指す。

 「イベントは今後も年に1度、9月のレディスコレクションの時期に開催したい。メンズコレクション期間中にも関連イベントを考えている」(カパサ会長)。メンズコレクションでは注目株のデザイナーが少ないなど、パリと比べて勢いがないとされるミラノだが、サステイナビリティーでは先んじた。

 11の賞の主な受賞者は、「ブルネロ・クチネリ」が共同体・社会的公正賞、「ヴァレンティノ」の仕立て職人たちが職人技賞、「エルメネジルド・ゼニヤ」がエコ管理賞など。サステイナビリティーに留意する新進デザイナーコンクールの「最優秀新進デザイナー・フランカ・ソッツァーニ・グリーン・カーペット・チャレンジ賞」は、イタリア人のティツィアーノ・グアルディーニに授与された。

カパサ会長(右)とファース代表
職人技賞の「ヴァレンティノ」の仕立て職人たち


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