染色の福井プレス、「きのこラボ」を開設 コーヒー染めの残渣を培地に

2023/11/01 06:27 更新


きのこラボで開催したオープニングイベント

 染色・洗い加工などを手掛ける福井プレス(大阪府東大阪市、福井伸社長)は、本社工場横に、キノコの培地を生産する「きのこラボ」を開設した。コーヒー染めなどの残渣(ざんさ)を活用した。

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 同じ東大阪市にある藤田珈琲や近畿大学と連携、焙煎(ばいせん)時のチャフ(薄皮)、ドリップ後のコーヒーかすなど残渣の再利用を研究してきた。既にコーヒー染めは、中小アパレルなどからの受注実績があるほか、自社ブランド「染・食・還」でエコバッグ、靴下、雑貨などを展開している。染色後の残渣のさらなる有効活用を模索するなか、コーヒーの残渣やビールの麦芽かすがキノコの培地に適していることが分かり、社長やスタッフが勉強しながらキノコ栽培を成功させたものだ。

コーヒー染めをはじめ中小アパレル・個人向けの受注も増加

 ラボは無菌コーナーを備え、1日50個程度の菌床を作ることが可能。植菌後、味が良く栽培しやすいヒマラヤヒラタケだと1~2カ月後に収穫ができる。さらに培地として利用した後も、燃料用コークス、軽量で独特の色彩のある建材やランプシェードなどの工芸品材料としての再々利用も進んでいる。

 染色加工との兼業のため、当面は数字よりも、SDGs(持続可能な開発目標)の観点からの販売を中心に組み立てる。学校の教材としての販売、残渣を提供するコーヒーショップでの販売のほか、工芸材料の展開を見込んでいる。

 10月28日にはきのこラボのオープニングイベントを開催。地元の親子連れなどが植菌体験を楽しんだ。東大阪市は、様々な中小企業が集積する。街の魅力を伝えるため、多彩な中小企業が参画する体験型イベント「ひがしおおさか体感まち博」を続けている。同社も参加しており、今後もこうしたイベントを継続しながら、地域社会の活性化にも取り組んでいく。

福井伸社長

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