ふかじ先生のWEBマーケティング教室②(深地雅也)

2018/03/26 12:08 更新


前回はECを急に始めても売れない理由についてお話させて頂きました。

ふかじ先生のWEBマーケティング教室①(深地雅也)

今回はその続き、どうすればweb上で認知してもらえ、需要を創出する事ができるのか?についてお話したいと思います。


需要を創出する1段階目はコンセプトメイク!

アパレル企業の皆様がブランドを設立する際に、この「需要」については当然考えるはずです。手段は様々でしょうけど、デモグラフィックやサイコグラフィックを切り口にする企業さんが多いんではないでしょうか。結果、可処分所得の多い属性を狙う事に集中し、近年よく見かける「大人の女性」に向けたブランドが飽和している状況を生み出しているのではないかと推測します。


コンセプト頻出ワード

1位 大人の女性

2位 こだわり

3位 上質

※あくまで体感です。


みたいな感じですね(笑)。

それはそれで悪くないんですが、一口に大人の女性っていってもどこを指すのかが不明瞭なんです。もっと具体的に、もっと尖らさないとブランドのアイデンティティやイメージがはっきりしません。


コンセプトなんてみんな大して読んでねーよ


と思われる方もいらっしゃるでしょう。これもまた事実で、余程のコアなファンで無い限りはブランドのコンセプトなんて言葉で把握していません。では何故コンセプトが必要なのでしょうか。

ブランドが他社製品と差別化する為に必要なもの、それは「体験価値」です。ユーザーに特定の体験価値を提供する事で、その製品を認知してもらい記憶してもらう。そのブランド名やロゴを見た時にその体験が想起され、また選んでもらえる。

体験価値はブランドの製品上においても、ブランドが発信する情報においても、ブランドが運営する店舗においても同様に提供しなければなりません。それがブレないようにする為にも、根幹となるコンセプトが必要になるのです。それが不明瞭という事は、ユーザーに提供するはずの価値もまた不明瞭になるという事と同義です。



webで認知されやすいブランドコンセプトとは?

では明快なコンセプトとは一体どんなものなのでしょうか?個人的に「webでバズってるな」と感じるブランドを数個見ながら解説してまいります。


feast 

胸が小さい女性に向けた下着というコンセプトのブランド「feast」。体験価値としてはわざわざ解説しなくても伝わりますね。そして何より付加価値が高いのは胸が小さい事を「シンデレラバスト」と言い換えた事。本来であればネガティブに受け取られるワードをポジティブに変換してしまい、且つキャッチーな言葉の響き。

一時このシンデレラバストがweb上でバズっていたのが記憶に新しいです。コンセプト・ターゲットが明確であり、且つコピーライティングも秀逸。webで認知されやすいブランドのお手本と言えるでしょう。

#FR2 

株式会社せーのが運営するブランド「FR2」。代表の石川涼氏がメディアのインタビューでも語るように、「何かに紐付いてる服しか売れない」からという理由で、こちらのブランドは「カメラマンが着る服」がコンセプトになっています。

そしてアイコンとなるのが「ウサギのカメラマン」。このアイコンがキャッチーで認知されやすい。そしてwebで拡散されやすい理由がInstagramの投稿です。ブランドのアカウントを見ると女性の性的な写真ばかりが掲載されていますから、これは話題になりやすい。ブランド名にハッシュタグが付いているのもうなづけます。


わかりやすいブランドを2例ほどあげてみましたが、昨今のwebを含めたブランド戦略において必須項目をまとめますと、


・コンセプト・体験価値が尖っていて明確である事

・アイコンがある事

・ソーシャル上で拡散される理由がある事(バズワード・フォトジェニック等)


というところでしょう。もちろんこれが無くとも、卸営業を強化して全国展開しているセレクショップに置いたりとか、巨大な資本力を背景にプロモーション強化と多店舗展開で一気に拡大とか、認知度を向上させる手段はあるかもしれません。

ですが、昨今のブランド設立の経緯を見ていますと、コストのかからないECから始めて、ポップアップショップなどで認知度を上げる。そしてファンがついてきたら実店舗を出店というところが増えてきています。そうなると、まずweb上でいかに認知度を拡大させるかが課題になり、それを実現する為のポイントが上記のブランド設計につながってきます。


既にチャネルが確立されていれば売上をすぐ作れる!

1点例外があるとすれば、既にチャネルを確立できている企業はブランド設立間も無く売上を作る事に成功しています。3minuteやC CHANNNELがそれに当たりますね。根幹はメディア事業で、マネタイズのポイントとしてEC、そこに差別化要素としてPB(プライベートブランド)を持ってくる。加速装置としてインフルエンサーを掛け合わせて売上を一気に取る。


インフルエンサー発ブランド「eimy istoire」ディレクターに直撃取材!

田中里奈ディレクション「イズントシー」が好調、ECのみで売上月次2千万円へ


しかし、それでもコンセプトをおろそかにしてしまうと適切にブランド価値が積み上がっていかず一過性の売上にとどまる事でしょう。あくまで根幹となるコンセプトを大切にし、それに沿ったコンテンツをこつこつと積み上げるのがブランド価値を最大化させるには重要です。

とは言え運用していくにも費用がかかってきますし、ECで売上が立つ見込みが無いのに投資なんて中々できない…。というweb担当者や企業の社長さんの悩みもたくさんある事でしょう。では次回はそんな方に向けて、スタート時の予算をどう配分するのが適切か?についてお話していきたいと思います。


ふかじ・まさや スタイルピックス代表。ラグジュアリーブランドのリテール管理と全国セレクトショップへのホールセール担当を経て、起業。高級衣料品、ミセス、ヤングカジュアル、などの経験を基に、ファッションに特化したECサイト構築・運用・コンサルティング、リテールのソリューション事業を展開。スタートアップブランドの支援を中心に活動。その傍ら、服飾専門学校の講師も務める。深地さんのツイッターフェイスブック



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