【パリ=松井孝予通信員】フランス政府が導入を進める「環境負荷表示/エコラベリング」について、欧州委員会は同制度の導入を認可した。これにより仏国内では同制度に基づく衣料品の環境負荷表示が、今後本格的に展開される。
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同表示は、素材の生産から縫製、サービス、廃棄に至るまで、衣類のライフサイクル全体にわたる環境負荷を数値で可視化する。炭素排出量だけでなく、水資源や化石資源の消費、マイクロファイバー排出なども対象となる。表示手法には、欧州委員会が策定した製品環境フットプリント(PEF)法を基盤とし、仏政府による補強が加えられている。
この制度は、21年に成立した気候・レジリエンス法に基づいて策定され、24年末に実施された公開意見募集を経て、今回の承認に至った。今後は仏国務院の審査手続きを踏んで、表示の指針が正式に発効される見通しだ。
同制度は、すでに5月15日から一部ブランドの参加による試験導入(フェーズ1)が開始されている。EU(欧州連合)の承認を受け、25年第4四半期に予定される表示義務化(フェーズ2)に向けて、対象企業はデータ収集や登録作業を進めていく必要がある。
政府は、制度が消費者の選択を後押しするとともに、企業のエコ設計努力の可視化につながるとしており、ウルトラファストファッション対策の有力な柱と位置付けている。