新型コロナウイルスの影響によるマスク不足は病院にも波及している。東京・新宿の健診専門施設のフィオーレ健診クリニックでは、職員が手作りガーゼマスクを制作し、マスク不足に対処している。医師や看護師、事務スタッフ、役員まで総出で、これまでに350枚を超えるマスクを作った。
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「マスクの欠品が続き、在庫を取り崩しながら使用している状況」だったという。サージカルマスクは医療従事者に優先的に回すため、受付や補助スタッフなどのマスク確保に頭を悩ませていたところ、「マスクを作ること」を思い立った。2月末に手芸材料店のオカダヤからガーゼを仕入れ、健診業務の合間を縫ってマスク作りに着手。ミシンや裁縫道具は医師や職員が自宅から持参した。受付やフロアスタッフ用には白いガーゼのマスク、保育室にいる保育士や預かる子供用には色付きや柄物のガーゼのマスクを作った。「手の空いたスタッフ中心に作り始めたが、役員や医師も積極的に参加してくれるようになり、あっという間に完成品を作り上げた」。配布時には洗濯や消毒方法の説明も添付している。
「マスク不足に対応するだけでなく、新型コロナウイルスに翻弄(ほんろう)されている現状を打破し、前向きな雰囲気を作る目的」もあった。スタッフ一丸となってマスク作りに取り組むことで、「この状況に立ち向かおうとする職員間の気持ちのつながりが強くなった」という。