【パリ=松井孝予通信員】フランスで、ファストファッションを規制する法案の審議が停滞している。
環境・社会への影響の抑制、フランスのファッション産業の保護、消費者の安全を目的とした反ファストファッション法案は、24年3月14日に国民議会(下院)で全会一致で可決。同年7月には上院での審議を経て、25年1月1日の施行が予定されていた。しかし、議会の解散や総辞職が続いたことで審議が進まず、延期となった。
先ごろ開かれた大統領会議において、フランソワ・バイルー政権は本法案を上院の議題から外し、3月下旬に予定されていた審議開始がさらに延期になったことが明らかになった。
本法案には、ファストファッションの定義の明確化、環境評価に基づく課徴金制度の導入、ファストファッションの広告の禁止、プラットフォーム上における環境影響に関する情報表示義務などが盛り込まれていた。
世界で初めてファストファッションを規制する法律となることが期待されていただけに、ファッション産業関係者や上院議員などからは、落胆の声が上がっている。
また、ウルトラファストファッション企業による政治家を通じたロビー活動も問題視されている。
仏紙のル・モンドは、仏共和党の上院議員が、産業界が強く求める本法案について、3月中旬に最終報告をまとめる予定だと報じた。