【FB革命前夜 未来を作る④】変わる物作り

2018/02/11 11:00 更新


 過剰生産は回避できる

 ファッション業界の大きな課題が、機会損失を嫌っての過剰生産。消費の伸びが見込めないなか、的確な需要予測による過剰在庫の削減、販売状況に応じた迅速な追加生産・投入が肝になる。ビッグデータを集めつつ、気象条件、タイミング、過去のコレクション。あらゆるデータを読み込ませ、AI(人工知能)に学習させる。生産、販売の最適なタイミングの構築が持続的成長には欠かせない。

 何に使いたいか 

 「AI活用で一番大事なのは、何に使いたいか。これが定まっていない企業が多い」(石川康晴ストライプインターナショナル社長)。取り組もうとしているのが、AI活用による①発注の精度向上②配分③トレンド予測。配分とは、商品投入に関するもの。郊外型SC、ファッションビルなどに区分して商品を投入していたが、SCも店によって状況は違う。AIの分析で店ごとに投入量をカスタマイズする狙いだ。トレンド予測では、欧米コレクションの動画や各国のコレクション報道をAIに読み込ませ、デザイナーの仕事をサポートさせる。

 デジタル技術は大量生産だけに向けたものではない。効率化・合理化の部分がクローズアップされがちだが、カスタマイズや小ロットとの相性も良い。

 活性化にもつながる 

 「新しい衣服生産のプラットフォーム」を掲げ、縫製事業専門クラウドソーシングサービスを提供するシタテル。多品種小ロット生産の国内工場のネットワークを強みに成長を続けている。国内の縫製工場約270社と生地メーカー・副資材約50社をデータベース化し、海外工場との連携も計画する。

シタテルのビジネスモデル

 利用者が作りたいアイテム、生産数量、納期を打ち込むと、データベースから最適な縫製工場を探し出す仕組み。工場の繁忙・閑散の状況も数値化し、閑散期対策にもなる。14年の立ち上げ当初は個人の利用が多かったが、「最近では大手セレクトショップやデザイナーブランドとのマッチングが増えている」。アパレル企業のEC専用商品のスポット生産や大手企業の新規事業開発でのトライアル生産などの要望が目立つ。経済産業省の16年度「IoT推進のための社会システム推進事業(スマート工場実証事業)」に補助事業者として採択され、実証実験を進めてきた実績もある。

 同社は、技術革新の加速で「将来のファッション業界のプレーヤー(ブランド提供者)も変化する」とみている。大手企業の社内ベンチャーとして、アパレルブランドを立ち上げる動きをはじめ、働き方が変わることで副業が可能となり、個人やプロジェクト型のブランド開発も増えそうだ。新たなブランドが増えればアパレル業界の活性化にもつながる。生産プラットフォームの役割は大きい。



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