毛皮を模したパイル生地の一種
高品質なパイル生地の産地―和歌山の高野口
天然の毛皮(リアルファー)を模したパイル織物・編物の一種。日本ではフェイクファーの呼び方が一般的だが、イタリアなど欧州では「エコファー」という呼び名が浸透している。
15~16年秋冬のレディスでは、ファーアウターのトレンドがあるが、リアルファーの相場高騰のため、フェイクもよく使われている。
用途は、衣料や服飾雑貨、ブランケットや家具、車両シートなど。高品質なものは、アクリルやアクリル系繊維を使うが、原料の高騰のため、ぬいぐるみのほとんどは安価なポリエステルが主流。特にアクリルは、発色性の良さを生かしてビビッドな色を付けたり、リアルにはないヒョウ柄などをプリントしたり、蓄熱保温や帯電防止加工など機能を付けたりしたものもある。リアルに比べて安価で、手入れが楽。動物愛護の観点でも支持される。
作り方は、パイル(輪)が付いている織物や編物のパイルの上部を刈り取って毛を作り、染め、本物の毛皮のような外観や風合いに仕上げる。繊維の太さや断面、毛足の長さによって、ラビットやミンク、フォックス、アストラカンなどに似せることができる。
市場に流通する多くは中国製だが、日本では和歌山県の高野口が、フェイクファーをはじめとする高品質なパイル織編物の産地として知られる。