【パリ=松井孝予通信員】欧州連合(EU)の強制労働製品禁止規則の適用を前に、繊維産業界では原料段階からの供給網の把握が課題となっている。欧州委員会が先頃開いた同産業向けのオンライン説明会では、複数の団体が調達先の情報収集や労働条件の確認に伴う障壁を示し、中小企業の実情を踏まえた運用を求めた。
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同規則は27年12月14日から適用され、強制労働によって生産された製品のEU市場での販売や、EU域内からの輸出を禁止する。企業規模を問わず対象となる。
欧州委員会は説明会資料で、規則自体が新たなデューデリジェンス(リスクの把握・防止・是正)の義務を設けるものではないと説明。一方、強制労働によって生産された疑いのある製品について、当局が調査する際には、供給網の構造や生産拠点、取引・物流記録、労働条件などの情報提供を案件に応じて求めるとしている。
欧州繊維産業連盟(EURATEX)は、繊維の供給網が多段階にわたり、地理的にも分散していると指摘した。直接の契約関係がない川上企業からは情報を得にくく、複数の企業を経由する間に、情報が欠けたり、食い違ったりすることもある。綿などの原料は早い段階で集約・混合され、下請け先の変更も生産実態の確認を難しくする。
原料の流れを追跡する書類があっても、労働条件の証明にはならない。同連盟は、中小企業にとって原料の産地分析の費用が負担となるほか、取引先への交渉力にも限りがあると説明。川上の情報不足だけで、自動的に調査への非協力や強制労働と判断しないよう求めた。
小売・卸売業団体ユーロコマースも、強制労働のリスクが高い国や原料、生産工程に重点を置く対応を要望した。