新店が映し出す消費者ニーズ 「体験価値」と「ハイブリッド型」

2026/08/04 13:00 更新NEW!


東京・上野「海鮮市場八芳」は市場で買い物する雰囲気で食材を選ぶ趣向が楽しい

 消費者の節約志向が根強い昨今、「コスパ重視」の低価格業態が支持を集める一方で、「付加価値メニュー」「体験価値」提供型ミドルアッパー業態の需要も拡大しており、この二極化は今後も加速が予想されている。そうした中、新店の開業で最近目立つのが、「体験価値」「特別感」を提供する業態だ。

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食のテーマパーク

 東京・上野アメ横センタービルに6月、オープンした「海鮮市場八芳」は、「体験価値」のニーズにマッチした体験型のしゃぶしゃぶ業態である。店内に並ぶ食材を市場で買い物するように選び、自分専用の鍋で楽しむスタイルである。ずらりと並ぶ食材は海鮮、ブランド和牛、野菜など150種類以上。鍋のスープも定番の昆布だしや麻辣(マーラー)、豚骨など13種類から選べる。同店は24年にオープンし、日本最大級の高級ビュッフェ業態として話題を集めた「海鮮ブッフェダイニング銀座八芳」の姉妹店だ。「海鮮市場八芳」は、〝市場で自ら食材を選ぶ楽しさ〟と〝こだわりのスープで食べるひとり鍋〟という体験価値を強化し、来店客の予算に合わせて気軽に楽しめる要素を取り入れた「食のテーマパーク」型の店舗になっている。

多様なニーズに対応

 東京・中目黒に6月にオープンした「熟成和牛ステーキ グリルドエイジング・ビーフ中目黒店」も現在の外食ニーズを映し出している。同店はエイジング・ビーフが運営する、新宿、横浜、淡路町店に続くステーキ業態。同社は黒毛和牛熟成肉を軸に焼肉店、居酒屋などを運営、ステーキ専門店の「グリルドエイジング・ビーフ」が好調なことから、4店目の中目黒店を開いた。数ある外食の中でもステーキは、消費者が特別感を実感しやすい料理の一つだ。グリルステーキ業態が好調の理由について、同社の広報、鈴木健太郎氏は「どの店も値上げが続く中、これまで高価格の印象があったステーキ業態が相対的にお得感を感じられるようになっているのでは」とみている。さらに、グリルドエイジング・ビーフ中目黒店は、オープンキッチンを囲むカウンター席を設け、ステーキ以外のサイドメニューにも注力。ステーキ業態の従来の主力顧客である、しっかりと食事を楽しみたい層に加えて、「少人数で軽く一杯飲みたい層」も日常使いができるハイブリッド型の店舗作りをしている。「体験価値」と「特別感」に加え、多様な利用シーンやニーズに対応する「ハイブリッド型」というのも、現在の外食市場を読み解く上で重要なキーワードといえそうだ。

(日食外食レストラン新聞・森明美)



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