タレントとしてテレビや雑誌などで活躍しながら、ファッションデザイナーとしても今春夏物から「フィッチェ・バイ・ドンコニシ」と「フィッチェ・ゴルフ・バイ・ドンコニシ」の販売を開始。テレビショッピング向けの「ディモーダ」では強いニットをさらに強化、「ヨシユキ・コニシ」でもオーダーメイド(仮縫い付き)を充実させている。
(亀井善史)
◆ピコ太郎に学べ
今は最高のおもてなしとフェイクなサービス、海水と川の水とがクロスオーバーしているように、色々なものが入り乱れている時期です。他の業界では新しい芽が出てきているのに、ファッション業界は過去30年間伸びていないし、旧態依然として産業構造が変わっていない。ファッション界だけが置いていかれているようにも見えます。独特の構造を作って肥大化してしまったのです。
問題は服の供給量が多いこと。ファッションは変化するものです。襟やデザインなどのモノだけでなく、システムや産業構造などのコトも変わるべきなのに変わっていません。
先日、山陰地方で“シャッター通り商店街”を視察して講演しました。商店街の中心部に店を構えているのは“売れなくても腐らない乾物”の類を売っている店で、新規ビジネスをしている店は商店街の端にあって、なかなか中心部に入れない。長いものに巻かれ、既得権益にすがっている業界の現状を象徴していました。
時代は変わってしまったのに「体質は昭和のまま」。「ピコ太郎に学べ」です。何かを仕掛けて、オリジナリティーを発信することが重要です。
◆ソフトを充実する
今は未来に向けて種をまいたり球根を育てる時期です。「どうしたら安く作れるか」のハード面ばかりでなく、種や球根などのソフトを充実することが必要です。本当にファッションをやろうとすると年商3億円ぐらいだと言います。
ファッションビジネスはオンリーワンの物作りによるイメージ産業ですから。70年代のマンションメーカーの時代に戻っていいのでは。
私のファッションビジネスはヨシユキ・コニシで、オーダーメイドをやっています。スーツや舞台衣装です。オーダースーツの顧客には若手経営者が多い。フィッチェ・バイ・ドンコニシは「フィッチェ」の商標権を保有する寛斎スーパースタジオとの契約で、私がディレクションし、ダブルネームで紳士服専門店向けに販売しています。スーツで3万円台から5万円台です。
フィッチェ・ゴルフ・バイ・ドンコニシも寛斎スーパースタジオとの契約で、私がディレクションし、スポーツ専門店で販売しています。両ブランドの生産はともにワキタ。ディモーダは物作りでモリリンと組んでおり、売り上げも順調です。ニーズが高いオリジナル性のあるニットウェアにさらに磨きをかけます。
ファッションデザイナー・タレント ドン小西さん