毎年5月前後は、ラグジュアリーブランドによるクルーズコレクションが発表される季節。今年も各地で顧客やセレブリティーを迎えて、新作のショーが開かれた。新しいディレクターによる初めてのクルーズを見せたブランドも多く、ブランドの歴史をひも解いて新たな視点で再構築したコレクションが目立った。焦点になったのは、メゾン初のコレクションや映画のために仕立てた50年代の衣装など、ブランドの礎となったアイテムや企画。手仕事の技が、細部までふんだんに盛り込まれた。
(青木規子)
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「シャネル」は、マチュー・ブレイジーによる初のクルーズを発表した。場所はフランスの高級リゾートであるビアリッツ。創設者のガブリエル・シャネルが1915年に自身のクチュールハウスを開き、最初のコレクションを発表した場所だ。ブレイジーは、メゾンの始まりとなった地へオマージュを捧げた。
海辺の爽やかさ、ゆっくりとした時間が醸し出す優雅さ、自由な空気。そんな要素が混ざり合う海辺のルックが揃った。特に昼間のスタイルにはリラックス感が漂う。バスクストライプのプルオーバーには量感のスカート、ストライプのセットアップにはマリンキャップ。オープンカラーのシャツとハンカチーフヘムのスカートには、シャネルのダブルCがグラフィカルに描かれている。


イブニングで目を引くのは、人魚を連想させるロングドレス。ブルーグリーンと水色のスパンコールの輝きは、波打ち際のきらめきのよう。直線的なブラックドレスは、1926年に発表したものを現代によみがえらせた。「ここは機能性と幻想が完璧な調和のもとに息づく場所。アーティスト、労働者、貴族、水平、そして自然。あらゆる人と物が同じ舞台で日常的に共存し、それぞれが役割を担っていた」とブレイジー。
「ディオール」を手掛けるジョナサン・アンダーソンは、1949年のハリウッドに焦点を当てた。タイトルはロサンゼルス・カウンティ美術館(LACMA)が位置する「ウィルシャー大通り」。5月にオープンしたその新館でショーを行った。
