「靴の街」大阪、老舗靴メーカーをバイヤーが変える!~同じ木型で靴はどこまで変わるのか?~
COSAEMA(コサエマ)とは?
渋谷ヒカリエで3月10、11日に開かれる合同展「プロジェクトトーキョー」に大阪靴メーカー協同組合の「COSAEMA(コサエマ)」が初出展する。ブランド名には大阪弁の「ええ靴こさえまっ(=良い靴作ります!) 」とするメーカーの気持ちが込められる。
大阪市の浪速区・西成区は浅草や神戸と並ぶ靴産業の集積地で、革・副資材など靴づくりに関わる企業や人が集まる。だが多くは大手企業のOEM生産や問屋を通した商売形態に依存している。COSAEMAプロジェクトは各社が小売店と直接取引して新たなチャネルを開き、新規顧客を開拓して大阪の靴作りを盛り上げるのが目的だ。またメーカーが「プロモーションのありかた」も考え、良い靴とは何かを多くの人に伝えるプロジェクトでもある。
機能性だけではない靴作りへ
靴メーカーはこれまで「足入れ」や「履きやすさ」といった、ものづくりの視点で商品をとらえる事が多かった。しかし靴は機能性だけでなくファッション性も望まれる。そこで、国内外の有名企業でバイヤーを歴任し、ブランディングコンサルタントとしても活躍する飯泉太浩氏をブランディングディレクターに迎え、複数のバイヤーやファッション専門店のオーナーからアドバイスを受ける場も設け、靴づくりにファッションの観点を強めた。
飯泉氏は素材・色・デザインの提案だけでなく、洋服とのコーディネートや売り方・価格付けまでアドバイスし、これまでの「履きやすさ」に偏った提案方法を改革していった。なかには商品完成後のアプローチで後れを取っていた企業も多く、「どのように商品をバイヤーに届けるか」という視点でも改善を進め、靴の見せ方など情報発信の点でも各メーカーに大きな成長が見られた。
バイヤーの声をデザインに反映
その後、複数のバイヤー・オーナーから直接、意見やアドバイスを受ける場を設けた。バイヤーからは「実年齢よりも若く見られたい顧客が多く、とくに60代以降は10歳以上若く見られたがる」「アパレルのセレクトショップでは服飾雑貨のコーディネートは大きなポイント」「典型的なコンフォートより、ファッション性があり履きやすい靴」などの声が出された。こうした声をもとに各社は既存の木型でどこ までデザインの差別化を図れるかを試みた。
BEFORE/AFTER
「ターゲット年齢を10歳若返らせる」に取り組んだサロンドグレーの事例を紹介する。
サロンドグレーは60 歳以上のシニア層ターゲットのシューズ「サロンドグレー」をホテルショップや百貨店、ECで販売している。エレガントなデザインが得意だが、シニア層にも市場が望むカジュアルやリラックス感のあるデザインに適応する必要がある。写真※1は木型を変えずデザイン変更した「花柄アイレットバレエシューズ」。素材をコットンアイレットレースに載せ替え、ライニングをベージュに変更。足入れ口をグログランテープのトリミングとして、フロント部分にスワロフスキーを配置することもできるようにした。
今回、プロジェクトトーキョーではバイヤーアドバイス後に生まれ変わった全12社の商品を展示。それぞれの特長を生かしつつ、市場ニーズに適応して改善を重ねた商品を一挙ご紹介する。
≪PROJECT TOKYO 2021 渋谷ヒカリエ 9F HIKARIE HALL 3月10日(水)~11日(木)開催≫
バイヤーアドバイス後のプロジェクトトーキョー出展12社の商品はこちら
モンドール伊藤
伊藤製靴
ニューバンタン
インターナショナルシューズ
関西製靴
モデナ
MBM 杉本製靴
フェイス
カムサ
矢口製靴
押海製靴
サロンドグレー
大阪靴メーカー協同組合
https://www.instagram.com/cosaema/?hl=ja
企画・制作/繊研新聞社 業務局