バッグと革小物の「コケット」は8月中旬、アトリエ兼ショップを移転し、千代田区神田に「コケットカンダ」をオープンした。ギフトをコンセプトにしたセレクトショップとして運営し、コーヒーのテイクアウトスタンドを併設した。
地下鉄の淡路町駅と神田駅の中間のエリアにある古いビルを改装した。2層の路面店で、アトリエを含む面積は合計50平方メートル弱。1階のレジ奥には、キッチンスペースを設け、壁面にコーヒーのテイクアウト用の窓を設えた。
行き交う人とあいさつをするように「日常の中に入っていける存在になりたい」と、デザイナーでコケット代表の林きょうこさん。建物が取り壊しになるまで15年続けた以前の店でも、近所付き合いや地域のネットワークを大事にしていたが、「バッグというのは特別な買い物になるし、店内に一歩入ると身構えてしまう。バッグを扱いながら日常的なコミュニケーションが欲しい。それなら自分たちでコーヒーを淹(い)れようと考えた」という。
過去に催事を通じて知り合ったコーヒー屋「私立珈琲小学校」の焙煎(ばいせん)士に相談し、華やかなバッグのイメージに合うコケット専用のブレンドを作ってもらった。安定して同じテイストのコーヒーを淹れられるよう、スタッフと共にレッスンを受け、9月下旬からの販売を目指して、空き時間を利用して日々訓練中だ。
近隣は、オフィスやマンションが立ち並び、どちらかというと男性の通行客が多い。ギフトをコンセプトにしたのは「ジェンダーを問わずに利用できて、誰かを思い出すモノがある店にしたい」と思ったからだ。多彩なレザーを使った自社製品に加えて、ポップなアクセサリーや多色の生地をつないだタイなど、ユニークな小物雑貨を仕入れている。今後は「〝冬のギフトセレクション〟といったテーマを立てて、食品も含めたギフトや手土産の提案をしていきたい」。
2階は通常、バッグを販売しているが、ワークショップや展示会などの多目的スペースとして活用していく考えだ。